なぜ遺伝学的検査でDMDの診断を確定することが重要なのか。

遺伝カウンセリングと保因者診断

  • 男児では、DMDを引き起こす遺伝子変異が偶然に生じることが時々あります。これは、自然(突然)変異の場合と、お子さんのお母さんが持っている遺伝子変異を受け継ぐ場合とがあります。
  • この遺伝子変異を持っているお母さんは「保因者」と呼ばれ、他のお子さんにも、この遺伝子変異が受け継がれる場合があります。遺伝子変異を受け継いだ男の子はDMDになり、女の子は保因者になります。お母さんが保因者診断を受けて、この遺伝子変異を持っていることが判明した場合、次のお子さんを妊娠するかどうか、十分な説明を受けて決めることができます。また、母方の家系の女性(姉妹、娘さん、叔母、いとこ)も、保因者診断を受けることで、DMDのお子さんを授かる可能性があるかどうかを知ることができます。
  • たとえお母さんが保因者でなくても、お母さんの卵子にだけ遺伝子変異が起こっている場合があり、その場合は以後の妊娠でDMDの男の子を授かる可能性が僅かながら残ります。この状況を「生殖細胞モザイク」と呼びます。
  • 保因者の女性もわずかながら、歳をとるにつれて心臓が弱くなったり、足腰が弱くなったりする可能性があります。ご自身が保因者であることを知っていれば、こうしたリスクを見極めて、適切なアドバイスを受けることができます。
  • 遺伝カウンセラーは、このようなことをより詳しく説明してくれますので、ご相談なさってください。

治験に参加するために

特定の遺伝子変異に対するDMDの治験が数多く実施されています。あなたのお子さんが、こうした治験の対象かどうかを知るためにも、遺伝学的検査は重要です。医師が治験の対象の患者さんを見つけやすくするため、患者登録に登録すると良いでしょう。

最も大切なことは、あなたのお子さんが受けた遺伝学的検査が、正確な遺伝子変異を見つけ出す最新の基準を満たしているかどうかです。もし満たしていなければ、改めて検査が必要になるかもしれませんので、主治医と相談すると良いでしょう。正確な遺伝子変異の情報は、DMDの患者登録にも必要です。行われるかもしれない検査の詳細と利点は、このガイドブックの原著に書かれています。

世界各国のDMD患者登録の詳しい情報は、以下のウェブサイトをご覧ください。