どの時点でDMDを疑うのか

最初にDMDを疑うきっかけとなるのは、通常、以下の3つのことが起きた時です(ご家族のなかにDMDの患者さんがいない場合でも同じです)。

筋肉の機能の不調

よくあることは、ご家族の誰かに、「なにか変だな」と気づかれることです。DMDのお子さんが歩けるようになるのは、同じ年齢のお子さんと比べて遅いです。ふくらはぎが太く、走ったり、飛び跳ねたり、階段を上ることが難しく、転びやすく、つま先で歩く傾向があります。言葉の話し始めも遅れることがあります。古くから知られているDMDのちょう候の一つに、「ガワーズちょう候(登はん性起立)」があります。これは、起立するとき、手や腕を使って自分の身体を歩くようにして立ち上がる様子のことです。これは、腕や太ももの筋肉の力が弱いためです(下の写真を見てください)。

 

 

血液検査で、筋肉のたんぱく質クレアチン・キナーゼ(CK)の数値が高い

CK値が高いことが分かったら、診断をはっきりさせるために、すぐに神経筋疾患の専門医を紹介してもらう必要があります。他の筋肉の病気でもCK値が高いことがありますので、CK値が高いことだけではDMDと断定できません。

血液検査で肝臓の酵素AST(エーエスティー)とALT(エーエルティー)の値が高い

血液検査でASTとALTの値が高いことは、しばしば肝臓に障害があることと関係しています。ただ、これらの酵素は筋肉の線維にも含まれるため、筋ジストロフィーの患者さんでも値が高くなることがあります。ASTやALTが予想外に高く、他の原因が見つからない場合は、筋ジストロフィーの可能性を考えて、CK値も高い可能性があることを考えなければいけません。このような場合は、肝生検(肝臓の組織を取って行う検査)は勧められません。

言葉の発達の遅れ

DMDのお子さんには、言葉の発達が遅れて病院を受診するお子さんもいます。